のらりくらり

のらりくらり生きていてつまづく疑問を少しでも解消できますれば。

*

地獄変【芥川龍之介】あらすじ・感想

      2019/04/10

2387de81b224cb59a3abc490975e5358_s

スポンサードリンク

あらすじ

昔(平安時代)、堀川に名君とも暴君とも評される大殿がいました。彼の人には様々な逸話がありましたが、その中でもとくに凄まじいものが、地獄絵を描いた屏風にまつわる物語です。

 

この地獄絵は、老若男女、身分を問わず様々な亡者が業火の中で責め苦に苛まれる図を主に描いた大作ですが、その中でも中心に描かれた燃え盛る牛車、そしてその車中で焼かれる女房の姿は入神の出来でした。

 

これを描いた絵師である良秀という男は、絵の腕に関しては卓越たるものでしたが、その人柄は大層評判が悪かったのです。ケチで高慢、顔も猿のようで醜く、また常人が目を背けるようなむごたらしい光景もつぶさに写し描くような有様でした。

 

良秀には一人娘がいました。この娘は大殿の下で小女房として働いており、これが親にはまるで似ぬ、美しい顔立ちに優しい心を持つ娘で、大殿にも気に入られていました。
絵師の良秀は、娘を大切にするあまり常識外れた行動も良く取っていました。

とくに、良秀の絵の出来栄えに気をよくした大殿が「なんでも望みの褒美を取らせよう」と言った折、良秀は娘を自分の下に返すよう願います。これには大殿も機嫌を悪くして断り、これ以降二人の仲は目に見えて悪くなっていきました。

 

そんな折、大殿は良秀に地獄変の屏風を描くように命じます。
地獄変とは地獄で苦しめられる亡者を描いたものです。

地獄絵の制作は順調に進んで行きましたが、ある時良秀は「地獄絵にどうしても描けない部分がある。私は見たものしか描けない。責め苦を受ける亡者も炎も現実で見、獄卒でさえも夢で見たが、燃え盛る牛車、その中で苦しむ女は見たことがない」と大殿に言いました。

全てを察した大殿は「万事その方が望むようにしよう」と承諾します。

そして、牛車が焼かれる夜が来たのです。

火を放たれた牛車のなかには、良秀の娘がいました。

 

大殿は娘が自分のものにならないことに腹を立て、焼き殺そうと企てたのです。大殿もまた冷酷で無慈悲な人間でした。

良秀も大殿ももだえ苦しみながら焼け死ぬ娘の様子を見つめ続けました。娘の死を眺める姿は悲しそうでもあり、嬉しそうでもあったと記述されています。

 

結局良秀は素晴らしい地獄の屏風を完成させ、その絵の出来と迫力に誰もが舌を巻いたのですが、絵を大殿に献上した後良秀は間もなく首をくくって死んだと言われています。
地獄変 (ハルキ文庫 あ 19-2 280円文庫)
芥川 龍之介
4758436495

感想

芥川龍之介の代表作の一つです。

語り手が大殿の下で働いていた者だからか、素直に読むと性格の悪い絵のためになら人の生死をも気にしない絵師が、娘の死を以って自殺したというストーリーなのですが、大殿が良秀の娘に思いを寄せていたにも関わらず、それを受け入れなかったがために逆上した大殿が焼き殺してしまったようにも受け取れるという物語です。

 

人の業に深く切り込んだストーリーで、芥川龍之介の作品の中ではとくにインパクトの強い作品という印象が強いです。

小説では娘の死を悲しんで死を選んだことになっていますが、芥川の意図は本当にそれだけだったのでしょうか。芸術家として極め尽くした良秀にとって、この屏風以上のものをもう自分には描けないと悟ったからではないでしょうか。そんな風にも思えるのです。

芥川は後に「ぼんやりとした不安」という言葉を残して自ら命を絶ちますが、その思いが無意識のうちに良秀という主人公の中に投影されているように思えてなりません。

 

スポンサードリンク

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

  関連記事

あしながおじさん あらすじ 感想

スポンサードリンク 関連

銀河鉄道の夜 あらすじ・感想

スポンサードリンク 関連

【坊ちゃん】夏目漱石 あらすじ

スポンサードリンク 関連

蟹工船【小林 多喜二 】あらすじと感想

スポンサードリンク 関連

ハリーポッターと炎のゴブレット 映画 あらすじ

スポンサードリンク 関連

アガサ・クリスティー【オリエント急行殺人事件】あらすじとネタバレ

スポンサードリンク   「オリエント急行殺人事件」は、アガサ・クリステ …

アルジャーノンに花束を・あらすじと感想

スポンサードリンク 関連

蜘蛛の糸【芥川龍之介】あらすじ

スポンサードリンク 関連

太宰治【人間失格】あらすじと感想

スポンサードリンク 関連

ハリーポッターと賢者の石 映画 あらすじ

>>>ハリーポッターと賢者の石【amazon】 目次1 あらす …