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ピース又吉【火花】 あらすじ

      2019/03/22

hibana

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あらすじ

人気お笑いコンビのピースの又吉直樹さんによる中篇純文学小説です。

主人公は若手芸人の「僕」

癖のあるキャラクターとして描写される先輩芸人神谷と、夢を追う僕の生きる日々を描いた「青春小説」とでもいえそうなストーリーです。

熱海の花火大会の営業で彼らは出会います。
営業の後、飲みに誘ってくれた神谷に自分の求める笑いを見出し、師弟関係のようなものを結ぶことになります。その後も、「神谷」の家に行くなどして、二人は親交をを深めていきます。

その中で、「僕」は「神谷」の天才的なところに強烈に惹かれていきます。

その一方で世代を同じくする芸人たちが売れていく中、主人公も先輩芸人であるはずの神谷もなかなか「売れる」ことができません。

しかしその後、主人には深夜番組などの仕事のオファーが少しずつ入るようになります。

一方、「神谷」は天才的なところはありますが、周囲とうまく折り合いがつかず、うだつのあがらない日々を過ごします。とうとう住まわせてもらっていた女性の家も追い出され、宿無しの身となってしまいます。

それでも主人公は神谷の才能を信じ、師と仰ぐことを辞めず、いつか神谷を笑わせてやろうと、そればかりを考えながら芸人としての仕事に打ち込んでいきます。

しかし神谷は主人公の意に反していっこうに笑ってはくれません。
そうこうするうちに神谷は多額の借金を抱えて行方知れずとなってしまいました。

主人公の人気も下火となり、仕事が減っていきます。
そんな時主人公の相方の彼女に子どもができ、相方はその彼女との結婚を決めます。

それを機に主人公のコンビは解散。
主人公自身も芸人を引退することを決意します。

その後、主人公は行方知れずとなっていた師、神谷と再会することができたのですが、誰よりも笑いを愛し、追及した「師」は、衝撃的な姿となって現れます。

それは「豊胸」でした。


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感想

ラストの「オチ」とも言える衝撃的な姿は、昨今の一発芸で消えていった芸人が見せる悪あがきを連想させます。
「これだから売れないんだ」という典型的な姿は、悪いけど今後も売れないんだろうなあと思ってしまう、そんな憐憫を感じます。

太宰治を大好きだという又吉さんはどのような文章を書くのだろうを思って読みましたが、本職である芸人、お笑いの世界を題材としていますからギャグ表現も多彩です。
しかしそのような中でも夢破れる人がいる、挫折があるという全体に漂うほろ苦いテイストに又吉さんの趣味、趣向が感じられました。

笑いを通して、人の生き方、在りかたを示してきており、お笑い芸人ならではの切り口だと思いました。お笑い芸人の儚さ、センスのある人の悲哀など、とても丁寧に描写されていて、感心しました。

筆者のお笑いに対する熱が「僕」や「神谷」に投影されていて、痛烈に伝わってきました。夢や理想と現実のはざまにいる人の心理というのが、生々しく描かれており、とても感傷的な気分にさせられました。

近年本を出す芸人さんが何人かいましたが、その大部分は「ある程度の学力があるので書こうと思えば書ける人」という印象を受けました。
しかし又吉さんのこの作品に関しては一番「本を読み込んでいる人だな」と感じさせる作品であったことは確かです。

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